ホームページはほとんどのECサイトにおいて最もアクセスされるページの1つであり、いわばオンライン版の店先として、どんな会社が何を販売しているのかという情報を顧客に伝える場所といえます。従って、顧客とSEOの両方の観点からホームページを最適化することが重要となります。
しかし、SEOではホームページへの施策が見過ごされることが多くあります。以下では、ECサイトのホームページを最適化するための重要な要素をご説明します。
何を売っているかはっきりさせる
ブランドを知らない人は、サイトで販売されている商品をすぐにはっきりと思い浮かべることができるでしょうか。
多くの場合、答えはおそらくNOです。サイトのabove-the-foldコンテンツを使ってサイトの取扱商品を明確に表示できれば、顧客は自分が購入意図に適したサイトにいることがわかりやすくなり、顧客のサイト滞在時間が延びてうまくいけばコンバージョンに至る可能性が高まります。
頻繁にサイトに訪問している側は、サイトにあまり訪れない人の視点を持つことが難しくなります。ユーザーがページの目的を判断するのに5秒間与えられるというUX検証方法がいくつかあります。ホームページをみて5秒以内にそのサイトの取扱商品がわからなければ、見直しを行う必要があるかもしれません。
顧客がすぐに理解できるようなホームページにしておくことで購入意図に適したサイトだと分かるため、サイト滞在時間の増加や直帰率の低下に繋がり、コンバージョン改善の可能性が高まります。そしてこれはどのECサイトでも求められるものです。
しかし、サイトがユーザーの役に立っていることが明確になるため、これらの要素は検索エンジンの掲載順位向上や維持にも役立つ可能性があります。それに伴ってサイトのビジビリティも改善され、最終的にECサイトにとってもユーザーにとっても有益な結果になります。
重要な販売ページへのリンクを行う
サイトの他ページと比較すると、ホームページには一般的にトラフィックや参照ドメインが大量に集まります。これにより、ホームページのサイト内部でのオーソリティが高まり、リンク先のページへとつながっていきます。
顧客にアクセスしてほしい、かつGoogleのランキングに掲載させたいと考えているサイトの重要なページがホームページのbody要素からリンクされている形にすることで、そうした重要なページのパフォーマンスへの大幅な貢献となります。例えば、「アウトドア BBQ」というキーワードでサイトを優先的にランクインさせたい場合、アウトドアでのバーベキュー向けのカテゴリページにリンクを行うようにしてください。
内部リンクのアンカーテキストを具体的にする
重要なのは、内部リンク構造だけではありません。サイト内ページへのリンクに使用するアンカーテキストを適切に処理することで、ページの内容を検索エンジンに伝え、サイトがターゲットにしているキーワードでランクインしやすくなります。
そのため、可能であれば「詳細はこちら」や「すぐに購入する」などの一般的なアンカーテキストを、ブログのタイトルや「(カテゴリ名)を購入する」のような具体的なアンカーテキストで置き換えるようにしてください。
ホームページをクロール可能な状態に保つ
上位にランクインさせるためのターゲットとなるキーワードを機能させる上で、検索エンジンが自社ホームページの表示内容を確認でき、簡単に理解できるようにすることは、極めて重要でありこれには、さまざまな方法があります。
JavaScriptにより表示されるコンテンツの削減
コンテンツの大部分を標準的なHTMLで提供するようにすると、検索エンジンがホームページをすばやく簡単に理解できるようになります。JavaScriptはさまざまな場面で非常に便利であるものの、何が表示されるかを把握するのに検索エンジンがコンテンツのレンダリングを行わなければいけないことを考えると、JavaScriptのレンダリングに追加のリソースがかかることになるため、サイトにとってネガティブな要素となる可能性があります。その上、JavaScriptをレンダリングする能力は検索エンジンによって異なるため、すべての検索エンジンが自社のホームページを理解してくれる保証はありません。
画像と動画コンテンツ
画像と動画は、ホームページを顧客にとって魅力的で興味をひかれるものにするために大いに役立ちます。しかし、検索エンジンは一般的にテキストに比べて画像や動画形式のコンテンツを理解するのが難しいということ考慮しておく必要があります。
ページ上で一部にテキストを含むような画像を複数使用している場合、適切なalt属性を使用していても検索エンジンはそれらの画像の内容を十分に理解できないかもしれません。検索エンジンがサイト上のコンテンツを理解できるようにする最も良い方法は、そうしたコンテンツの提供をHTMLで行うことです。
より広範なキーワードにターゲティングする
ホームページはユーザーが最初に目にするページだけの存在である必要はなく、ホームページを活用して自社ECサイトで販売するすべてのカテゴリや商品の種類を表現するキーワードにターゲティングすることもできます。例えば、ヴィーガンファッションを販売するサイトでは、より具体的なキーワードのターゲティングにはカテゴリを使用しながら、ホームページとしては広範なキーワードにターゲティングを行うことができます。
ホームページ – メンズ ヴィーガンファッション
カテゴリ1 – メンズ ヴィーガン Tシャツ
– サブカテゴリ – メンズ ヴィーガン Tシャツ 黒
カテゴリ2 – メンズ ヴィーガン ボトムス
このようにすれば、ホームページ上でサイトのカテゴリのターゲティングを繰り返し行うよりも、ホームページ自体が関連するキーワードにターゲティングされ、サイト上で購入可能なものが明確になります。
H1タグを使用する
ページ上の最大の見出しは、検索エンジンにとってページ内容に関する重要なシグナルであり、ホームページも例外ではありません。しかし、ホームページ上に含まれる内容が多すぎると、この点が疎かにされることがあります。
ホームページのH1タグでは、クロールしやすいようにテキストを使用し、ページタイトルのようにサイトの目的を繰り返し伝える役割にしておくと良いでしょう。
画像を無駄なく最適化された状態にする
セールや季節性のあるコンテンツなど注力する箇所が頻繁に変わるために、ホームページの画像は最適化の観点で最もないがしろにされやすい要素です。しかし、ホームページは多くの場合いかなるサイトにおいても最も訪問数の多いページであるため、確実に検索エンジン向けに最適化して良いUXを提供できるよう、画像を可能な限り無駄のない状態にしておく必要があります。これには次のような方法があります。
- HTMLやCSSでサイズ変更をしなくても良いように、正しいサイズで画像をアップロードする。
- ファイルサイズを削減するために画像を圧縮する。
- 画像形式を考慮する。PNGはJPGよりもファイルサイズが大きくなることが多い。次世代の画像形式はファイルサイズが非常に小さく、かつ画質がほとんど劣化しないことが多い。
ページ上のUXを考慮する
Googleは最近、Core Web Vitalsの導入やそれに合わせたGoogleサーチコンソールのレポートの展開など、ページ上のユーザー体験に大きく注力しています。Googleが重視する要素には次のようなものがあります。
- モバイルフレンドリー
- Cumulative Layout Shift
- First Input Delay
- Largest Contentful Paint
- HTTPS
- セキュリティに関する問題
- 煩わしい広告
自社ホームページがこれらのテスト項目に高い基準でパスできるように、こうした要素には特に注意を払い、Googleサーチコンソールでトラッキングする必要があります。
しかし、ページ上のUXに関するGoogleのドキュメントでは、一般的な顧客体験という比較的曖昧な内容が言及されているに過ぎません。Googleが求めるポイントをホームページが満たすことはSEOを行う上でもちろん不可欠ですが、どんなECサイトも考慮する必要があってもGoogleが明確には計測していないUX要素は他にもたくさんあります。
自社サイトのホームページはオンライン上でのいわば店頭であり、そういうものとして対策をする必要があります。顧客がサイトを訪問した目的を簡単に果たせるようにすることが、顧客にサイトに滞在してもらい、再訪を促し、コンバージョン率を高める鍵になります。顧客の意図を損ねる可能性のある要素は、それほどの価値があるかどうか検討してください。例えば、顧客がサイトに到達した途端に表示されるメール登録ポップアップ、過剰なカスタマーサポート通知、そしてGoogleも推奨していない大きいサイズのオーバーレイ広告が挙げられます。
ホームページを提供するのに100%正しい方法はありませんし、他のチャネルでは求められる要素は異なります。しかし、これらと、Googleがますます関心を強めている顧客体験の間で、SEOのためにバランスをとって施策を打っていく必要があります。