ペナルティという言葉はSEOコミュニティにおいて、あまりに多くの意味で使われているため、どの施策がペナルティを受け、どの施策がサイトのパフォーマンスを阻害するかしっかりと把握しておくことが非常に難しくなってきています。
こうした現状を踏まえ、DeepCrawlでは一般的なSEO上の問題やペナルティを1つの記事にまとめ、実際の業務で必要な際にいつでも参照できるようにすることにしました。
ペナルティやサイトへの悪影響の適用
Googleは意図的にサイトへの悪影響を引き起こすことがあります。これは、このサイトがGoogleのガイドラインに従っていないためです。
1. バックリンクの操作
不自然なリンクへに関する手動対策の警告でGoogleが指摘しているように、不自然で人工的な、紛らわしい、または意図的に誘導するリンクはペナルティを引き起こす可能性があります。
2. Googlebotに対するクローキングやリダイレクト
ユーザーや検索エンジンに対してそれぞれに異なるコンテンツやURLを表示すること(クローキングと呼ばれる)、またはユーザーではなくGooglebotをリダイレクトすることはGoogleのウェブマスター向けガイドラインに違反するため、ペナルティを受けることになります。
これは以下のような場合を含みます。
- 検索エンジンにのみテキストやリンクが表示される
- 検索エンジンにはHTMLを表示するが、ユーザーにはFlashや画像のみを表示する
しかし、GoogleのJohn Mueller氏は、最近のGoogleウェブマスターハングアウトで例外について言及しています。トラッキングパラメータのあるURLから正規化URLへとGooglebotをリダイレクトしつつ、アナリティクスでユーザーのトラッキングを行うためにユーザーはリダイレクトさせないという方法は技術的にはクローキングであるものの、それほど”問題のある”手法であるとは思えないと彼は指摘しています。詳細は、 このウェブマスターハングアウトの53分17秒あたり(英語)をご覧ください。
3. 誘導ページ
検索結果で上位表示されることだけを狙って作成されているが、同じページにつながっている誘導ページはGoogleによってスパムと判断されます。
4. 内容の薄いコンテンツ
Googleのパンダアップデートでは、質の低いコンテンツのあるページを検索エンジンに表示しないように設計されました。Googleが求めているサイトは、ナビゲーション/画像/動的要素が豊富で、コピーした内容や空白が多いページ、ad-stuffing、技術的エラーなどのユーザー体験を阻害するような要素が少ないサイトです。
5. 自動生成コンテンツ
自動的に生成されるコンテンツのほとんどがGoogleのウェブマスターガイドラインに違反します。これは自動翻訳されたコンテンツやAtom/RSSフィードや検索結果からスクレイピングされたもの、固有の付加価値を付けずに他のソースから統合されたコンテンツなども含みます。
6. 無関係なコンテンツとマークアップ
最近のGoogleウェブマスターハングアウトでJohn Mueller氏は、「Googleの方針として、マークアップされているコンテンツはページに表示したいと考えており、したがって既存の構造化マークアップやマイクロフォーマットなどを使うことは明らかに容易になる。一方でJSON-LDは本質的にはページのHTMLとは別のJavaScriptであるためにJSON-LDを利用するのは難しくなるだろう。」と発言しています。
ページに表示されていないマークアップを使ってGoogleを出し抜こうとする場合にはペナルティが与えられる可能性があると言えるでしょう。
7. 明示されていない記事広告
Matt Cutts氏が2013年(英語)に言及している通り、記事広告(ブログやニュース記事のような編集記事の形で表示される広告コンテンツ)にあるリンクがページランクを伝えてしまわないためにはフォローされるべきではなく、記事広告自体を明確に表示する必要があります。
明示されない記事広告があると、そのサイト(とそれにリンクしているサイト)が ペナルティを受ける(英語)可能性があります。
8. サイトパフォーマンスの大幅な阻害
サイトのUXを大きく阻害するサイトパフォーマンスに関する問題があると、ペナルティを受けるだけではなく、サイトが検索結果から削除される可能性があります。GoogleのPageSpeed Insights ルールに従うことでサイトの表示スピードを改善しましょう。
9. ハッキングされたスパム(マルウェアを含む)
2015年10月にGoogleは検索結果においてハッキングされたスパムに積極的に対処するため、アップデートを行いました。基本的にこれらはもう検索結果に表示されることはないでしょう。
10. HTTPのみのサイト
2014年8月、GoogleはHTTPSを利用しているサイトにわずかに順位表示上で優先すると発表しました。しかし、現状これらは軽微なシグナルにとどまっています。詳しくは、DeepCrawlのHTTPS設定ガイドをご覧ください。
11. モバイルでの互換性がない
Googleのモバイルフレンドリーアップデートが行なわれた結果、モバイルフレンドリー基準に満たないサイトは、検索結果で上位表示されることがなくなりました。
12. インタースティシャル広告
2015年11月1日時点でページにおいて大量のコンテンツを含むアプリのインタースティシャル広告はモバイルフレンドリーと見なされず、モバイルフレンドリーなページと同じようには検索結果に表示されなくなっています。
SEO上の問題 (ペナルティは発生しない)
これらの問題があるとエンゲージメントの観点で悪影響があったり、Googleに希望通りにコンテンツをインデックスしてもらえなかったりするかもしれません。しかし、Googleはこれらのインパクトを軽減しようとするため、可能であれば対処するのも良いとは言えますが、Googleがペナルティを与えるほどの結果には至りません。
1. 重複コンテンツ
重複コンテンツにペナルティが課されることはありませんが、Googleはコンテンツの主要バージョン(仮にcanonicalタグで指定されていたりリダイレクトされていなくても)のみをインデックスすることで重複をフィルタリングして、検索結果には1つのバージョンのみ表示することがあります。
異なるサイト間での重複(英語)が存在していると、検索結果に同一コンテンツのどのバージョンをインデックスすべきかという判断が付けづらくなり、手動による対策が実施されることが想定されます。
重複コンテンツは以下のようなものです(これらはあくまで一例です)。
- ドメインの重複:www/非www や HTTP/HTTPS
- 異なるパラメータのある同一URL
- 異なるURLやサイト上での商品説明の重複
- 個別のモバイル用URLや印刷用URLがある場合など
- 複数のニュースサイトに掲載されたプレスリリース
- アフィリエイトコンテンツ
- コンテンツシンジケーション
- タグ/カテゴリページ
- ローカライズされたコンテンツ(特定地域のユーザー向けに準備された類似のコンテンツ)
Googleは以下のようなものは重複コンテンツとみなさず(英語)、基本的にこれらを1つにまとめるようなことはしません。
- 複数言語に翻訳された同一コンテンツ*
- 同じmeta titleやmeta descriptionのある異なるページ*
- 同様のウェブコンテンツとアプリコンテンツ*
重複コンテンツのインパクトを軽減するため、canonicalタグやhreflang、301リダイレクトを利用したり、既存のコンテンツに新しく価値を加えたりしてください。詳しくは、修正すべき重複コンテンツの問題7選.をご覧ください。
2. リダイレクトチェーン
リダイレクトチェーン(あるページが別のページへリダイレクトし、さらに別のページへリダイレクトされることなどを指す)はGooglebotによるサイトのクロールスピードを遅くさせ(クロール効率を低下)、ユーザーに対してはロード時間を増加させます。
ユーザーは目的とするページにたどり着くまでに想定している時間を超えた場合には離脱する可能性があり、こうなるとユーザーのロイヤリティやエンゲージメントの指標が低下します。ページ読み込みを待たなければならない場合、検索結果のページへと戻ってしまう可能性が高くなります。こうしてサイトそのもののランキングも下がってしまいます。
3. 500エラー
500エラーによりペナルティは発生しませんが、順位には影響がある可能性があります。GoogleのJohn Mueller氏は最近のGoogleウェブマスターハングアウト(英語)で、サーバーエラーが起こっている場合にはGooglebotはサイトを早くクロールしすぎていると勘違いし、結果としてクロールのスピードが遅くなってしまうと指摘しています。クロールが低速になると、Googleに検出されるコンテンツが少なくなり、通常より新しいコンテンツのインデックスが遅くなるかもしれません。
サイトが500エラーをGoogleに送り続ければ、これらは404エラーのように扱われるようになり、エラーを返しているURLは検索結果から除外されてしまいます。
4. 大量の404エラーやリダイレクトされていないURL
404エラーやリダイレクトされていない期限切れのページが大量にあってもペナルティが発生することはありません。Googlebotが404を返すページを検出したら、これらのページをインデックスから削除します。これは後ほどアクティベーションやクロールすることが可能です。
ユーザーが定期的に404エラーとなっているページを訪問した場合にはエンゲージメントに影響するため、ユーザーが探している情報を提供するエンゲージメントの高い404ページを作成するか、またはそうしたページへ301リダイレクトすると良いでしょう。
5. 不正なcanonicalタグ
Googleは内部のページにおいてのみ正規化URLを使用することを推奨していますが、正規済のURLへリンクすることはペナルティの対象となりません。しかし、別のバージョンへリンクすることは、ページのプライマリバージョンへのランキングシグナルを弱めてしまうことになり、Googleがコンテンツの誤ったバージョンを優先してしまうことになりかねません。
同様に、canonicalタグにおいて誤ったバージョンにリンクすることに対するペナルティはありませんが、インデックスさせたいコンテンツのバージョンをGooglebotが検出することが難しくなり、検索結果に誤ったバージョンが表示される可能性があります。
加えて、多くのページを類似性の低いURLへ正規化する場合、Googleはcanonicalタグを無視してしまう可能性があります。
6. 大量のURLを1つのURLへリダイレクトすること
10月16日(英語)のGoogleウェブマスターハングアウトでGoogleのJohn Mueller氏が指摘しているように、関連のないURLに対して大量の別のURLからリダイレクトされている場合、これらはソフト404エラーとして扱われる可能性があります。彼によると、これは、あるページに直接的に関係のない大量の古いコンテンツがリダイレクトされているとユーザーが混乱してしまい、Googleがそのページを他のどのページとも類似しないと判断してしまうためです。
7. サイトパフォーマンスへの軽微な影響
Googleにとってはエンゲージメントがすべてであり、特にサイト表示速度をウェブマスターガイドラインに従って最適化することを推奨していますが、ロード時間に関する軽微な問題は順位やサイトパフォーマンスに影響を与えることはありません。
一方で、サイトを訪問しようとしているユーザーのためにあらゆる改善(例:できるだけロード時間を減らす)を行えば、エンゲージメントやロイヤリティを高めることができます。
8. 無効なHTML
GoogleのJohn Mueller氏が指摘するように、Googleは無効なHTMLを含むページを理解し、どう順位表示するか考え続けます。すべてのページが有効でありGoogleがコンテンツを正確に理解できることが理想ではありますが、Googleは現実にはほとんどのページが有効なHTMLではなく、Googlebotがそれらに対処しなければならないことを理解しています。
しかし、HTMLページが壊れているとそれを読み込むことが不可能であり、この場合にはSEOのパフォーマンスが低下していくことと思われます。
9. サイトマップにおけるリダイレクトと404エラー
期限切れのページ(404エラーを返す)を含むXMLサイトマップを送信すると、インデックスからこれらのページを素早く削除することができます。 他のインデックス可能なURLとは分けて確認できるように、別のサイトマップに追加しておくと良いでしょう。
インデックスから外れたらこれらのページを削除して、インデックス数がサイトの実際の数字と合致するようにし、これらのURLが引き続きクロールされ続けるようなことがないようにしましょう。
10. ブロックされた / ブロックされていないJavaScriptファイル
Googleはサイトの全てのアセットをクロールできるようにする(Googlebotにブラウザのようにページをレンダリングさせ、モバイル対応も確認する)ことを推奨していますが、これらのファイルが大量にある、または少なすぎるからといってペナルティが発生することはありません。
これらがdisallowにされている場合、Googlebotが、サイトがモバイルフレンドリーであると判断できなくなり、またコンテンツを表示するためにJavaScriptが利用されている場合にページを理解することができなくなっている可能性があります。
11. HTTP2のみを使用したサイト
Googleは現時点ではHTTPS2のみで機能するサイトをクロールすることができません。John Mueller氏は、Googleは現在この問題に対処しているところであり、今年の終わりには対応が完了予定であると指摘しています(英語)。
一般的なSEO施策(ペナルティを発生させず、問題にもならない)
12. 適切な言語へのリダイレクト
Matt Cutts氏はIPロケーションに応じて異なるコンテンツをユーザーに提供することを2009年に議論(英語)しており、この手法とクローキングの違いを説明しています。
13. nofollow属性のリンク
9月25日のウェブマスターハングアウト(英語)で、GoogleのJohn Mueller氏は、「別の管理者のサイトにリンクすることにSEO上の利点があるとは言えない」と発言しています。
このコメントから、外部へのリンクに利点があるとは言えず、したがってこれらをnofollowとすることが悪影響を及ぼすことはない(そしてペナルティなどは絶対に発生しない)ということは確実に言えるでしょう。