エンタープライズクライアントがSEO施策を実行する際に切り離せないのはプロジェクト遅延の問題です。例えば、技術的リソースの確保、主要ページテンプレートの変更やプログラム修正、開発の着手待ちなど多くの場面で遅延が発生します。
以前は、経営者陣に開発リソースを優先してもらうこと以外に、このような状況でSEO業者や社内のSEO担当者が出来ることはほとんどありませんでした。その結果、技術的な観点で見たSEOによる改善点は、仮に実施されていても数ヶ月、数年もの間忘れ去られていました。
これは多くの方にとって聞き覚えがある内容ではないでしょうか。
幸いなことに、GoogleがJavaScriptを解析の効率性を改善したことで、Googleタグマネージャ(GTM)を使用して変更に影響を与える機能が、他のオプションが使用できない場合において、主要なページテンプレート内にタグとスクリプトを含めるための方法となっています
この記事では、ビジネスにおけるGoogleタグマネージャの活用方法の概要と同時に、SEOにプラスの影響を与えるサーバーサイドのCDN修正方法をお伝えします。ハードコード(決め打ち)された修正ほど理想的で画一的に効果を持つものではありませんが、この選択肢を用いることで、技術的リソースが限られている場合やCMSで対応できない場合に、変更に影響を与える可能性があります。
SEOの大幅な変更
エンタープライズSEOでは、一般的に掲載順位キーワードの全体的かつ長期的な浸透よってビシネスにとっての成長がもたらされます。サイトがより適切にページ分類されて公平に配信されるようにする適切なディレクティブを用いて、Googleに対して技術的に適したサイトを構築することで、オーガニック検索におけるパフォーマンスに劇的な影響を与え、ビジネスに価値を生み出すことができます。
この戦略を使用した業界内の初期の見解と実例の一部はDistilled社のSam Nemzer氏によるもので、彼はGoogleタグマネージャを活用した方法の詳細を詳しく說明しています。そのデータと実例はこちらでご確認いただけます(英語)
この実験では、Googleタグマネージャーが構造化データ、canonicalタグ、noindexタグをページに挿入し、これらの修正をGoogleサーチコンソール内に反映する方法が検証されています。オーガニック検索からのトラフィックが収益全体の20〜50%にのぼる可能性のあるECサイトや小売業などの分野では、数千もの商品ページでこの変更を有効にすることで、大きな価値を生み出すことができます。
SearchViu社のEoghan Henn氏によるこの記事で、さらに多くの実験を見ることができます。ここでは、Eoghan氏がGTMを介してページ内に新しいリンクを実装し、タイトルとメタディスクリプションを変更するなど、より多くの事例がどのように定義および実験されるかを示しています。すべての事例の変更がサーチコンソールに反映されましたが、Googleのインデックスに反映されるには30〜60日掛かりました。
Trinity Insight社では、実際に目で見てで確認するために同様の実験を行いました。あるクライアントは、hreflangのエラーを抱えていましたが、彼らにはグローバルトラフィックとビジネスを増加させるという目標がありました。我々のSEOチームがサイトのデータと現在のページ構成を再確認していると、このクライアントはこれらのエラーのマークをしていないことがすぐに分かりました。
私たちはまずhreflangタグをハードコーディングしようと試みましたが、米国と英国のサイトは同じコードを参照していたため、英国サイトではハードコーディングされたタグの解析が機能しませんでした。GTMを配信用プラットフォームとして使用することで、ccTLDに応じて配信されるhreflangタグを構築することができ、それによって開発チームにコストを生じされることなくこの問題を修正および計測することができました。ユーザーのロケーションに基づいてccTLDリダイレクトを使用するフラットデザインのサイトであるため、きちんとした方法でこれを行うと、より多くの時間と労力が必要になってしまいます。
サーチコンソール内でデータを再編成して影響を確認するには数週間掛かりましたが、以下の図ではhreflangタグの実装と、適切でないハードコーディングされたタグを削除すること以外では、サイト内の中核をなすコードへの修正を行うことなくエラーが減少していることが示されています。
言うまでもなく、私たちはSEOの変化に影響を与えるこの結果と新しい戦略があることに感動しました。これらの例はSEOにおいて技術的なリソースが不足している場合の戦略的なアプローチとして機能する具体的な証拠になります。
サーバーサイドでの変更の実施
SEO界隈で最近よく取り上げられる戦略の一つは、コード変更の実装にCDNを使用して修正することです。
Googleタグマネージャを活用するよりもさらに効果的となりうるこの戦略では、コードをクライアントサイドに配置する代わりにサーバーサイドに配置して、検索エンジンが目的の変更をインデックスする時間と確率を上げるようにしています。
このアプローチをとることで、CDNを活用した結果として自社サイトのコンテンツ、ヘッダー、見た目、UX、挙動すべてを改善するようなコードを記述することができるかもしれません。
最も興味深い事例はCloudFlare CDNと彼らが使用する “Cloudfare workers”という技術です。GTMと同様に、この技術によってテクノロジーに精通したマーケティング担当者やSEO担当者が、サイトの標準的なコードやサーバー設定に影響を及ぼすことなく、改善したテクニカルSEOのメリットを実感できるJavaScriptを作成することができます。
この場合、ユーザーがCloudflareとCloudfare workersの技術を利用しているサイトにアクセスすると、地理的に最も近いサーバーにルーティングされます。これらは「エッジ・ノード」と呼ばれます。その後、変更はCloudfare workerの技術を介して「エッジで」実行されます。
Distilled社はこちらの記事(英語)内で、SEO施策にCloudflareを使用するための戦略的なアプローチの概要を示し、これまで当記事で言及してきたような多くの価値を生む領域に焦点を当てています。HTTPSやHTTP/2などの大規模な構成要素に影響を及ぼす可能性があるため、CDNを使用した変更の影響は、GTMを使用する場合よりも強力です。
こちらのページ(英語)で分かるように、Amazon Webサービスも同様の機能を提供しています。CloudFlareとAWSの主な違いは、活用されているコアテクノロジーです。
AWSはNode.jsという非常に規則正しく厳密な技術を使用していますが、Cloudflareは基本的にバックグラウンドで実行されるService Workerというテクノロジーを使用しており、現在のPWAの伸長をサポートしています。
どちらにの技術も能力的には十分私たちの期待する結果をもたらしてくれると思いますが、技術的な趨勢を考え、私たちはService Workerのテクノロジーを利用することをお勧めしています。
SEO施策に変化を与える他の選択肢がない場合
GoogleタグマネージャーとCDNの両方のアプローチは、テクニカルSEOの変更を行うための理想的な方法ではないということを明示したいと思います。金銭的および論理的に可能な場合に理想的なのは、コードを直接編集する方法です。
ソースコード内で提供される正規のタグのみをレンダリングし、重要なディレクティブの配置にGTMの使用を推奨しないとGoogleは言及しています(英語)。多くのSEOのテストと同様に、私たちが実施したテストからもそれらが適切に検出されていることが分かりますが、それほど速くは検出されません。
このアプローチでSEO上の変更を行う際に、追加で考慮するべきポイントを覚えておくと良いかもしれません。
- このアプローチは既存ページの変更に限定され、新しいページを簡単に作成することはできない。
- メインのソースコードの一部として変更をテストすることはできないため、サイトのメイン部分の更新により、時間の経過とともにページが壊れる可能性がある。また、モニタリングおよび管理されていない場合、長期的な問題を引き起こす可能性がある。
- ただし、変更点の価値を証明できるため、サイト保有者の賛同を得てメインのソースコードに変更を加えることができる。
これらの解決案は、優先順位を付け難く、プロジェクトが実行されないといった場合に向けたものです。 Javascriptを使用したSEO施策の変更を進めると、開発チームからの助けを必要としないため、テクニカルSEOチームの底上げになります。さらに、これらの修正は従来の方法を設定している場合でもすぐに展開できます。ハードコーディングしたタグを実装すると、GTMによる更新を数秒で削除できます。
この戦略を試される場合、小規模で始めてテストしてください。プロセスに慣れるために何かシンプルなものを見つけた方が良いでしょう。次に、サーチコンソールをモニタリングして仮説を立証し、トラフィックと収益を増加させるようなより大きいSEO施策に移行するようにしてください。